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執筆者の写真大輔 都谷

生きてる木と生きていた木の違い。

更新日:2023年7月23日


私事ですが、大工職になって早30年が過ぎ、おかげさまで色々なお仕事に恵まれて、現在も細々ではありますが日々忙しくさせていただいております。

今回は私の考えと言うよりは、現場の大工さんや材木屋さんの悩ましい問題になります。


私自身が大工職をはじめた頃は、墨付けといって製材した木や伐採したままの皮付きの木の、皮を大工が剥いで加工して削って、当たり前に材木の癖を一本ずつ、適材適所に配置し建築していました。

注文建築や分譲住宅も全てでした。


そんな時代は私が独立して10年もしないうちに、現在の主流のコンピューター加工の単価が下がり、手加工の単価が追いつかない状況になり、その頃から木材の人工乾燥が各地に広がりはじめました。


人工乾燥機に木材を入れて、頑丈な扉を閉めたまま120℃で表目を焼き固めて、そのあと60℃〜80℃ぐらいの温度で材木の芯の水分を抜いて、最後に外気温ぐらいに材木を冷ましてから出荷される。


と言った流れの材木が日本はもちろん世界的な

当たり前なんです。


が良く皆さんが住宅会社や無知な営業さんから、木は生きてますとか木の香りなど、そんなイメージから、木の住まいを求めている方が沢山います。


もちろん一部の大工さん(特に私が住んでいる田舎)は冬に伐採して数ヶ月から数年ストックして、自然な温度でじっくり乾かし、加工して建築されている、昔ながらの大工さんも少数ですがいらっしゃいます。


長々と書いてますが、ここからが現場の声になります。

高温で木を乾燥すれば春夏秋冬いつでも材木を伐採でき、早く現場に納品出来て高温で焼き固めれば建築後の反りやねじれといった、ハウスメーカーさんのクレームはかなり解消されたのも事実ではありますが、


私たち大工職はせっかく何十年かけて育った木を余す事なく、木の恩恵を施主様に知って体感してもらいたいんです。


当たり前なんですが、自然乾燥材は建築されてからも乾燥や膨張をずっと続きます。


たまにはバキバキとお施主様も驚くほどの音が聞こえて、心配されている方もいらっしゃるとは思うけれど、私はお客様に相談されると必ず

木が伸び縮みして鳴る家の方が良い材木です♪

と伝えています。


人工乾燥材(KD材)→ほぼ狂わない、香りが燻製の様な匂い、粘りがなく、耐久性に不安。


自然乾燥材と低温乾燥材(45℃以下)

→反る木曲がる木があるので加工の工夫やタイミングを考える、色艶や香りは何十年もかけて続きます、粘り強く折れにくい。

100年単位で固くなっていく、


おそらく私たち人間もですが、木も酵素を殺さず低温で活かして建てた方が、長い年月で考えると住まわれる方にとって、財産であると気づかれることが私のやりがいです。


米作りもやってますが、稲木干しのお米が美味しいのもそんな理屈なんだと思います!


長々と書いてしまいましたが、これから新築やリフォームをお考えの方の参考になれば幸いです。


身の丈建築 ツタニ

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